『Melting Stone』千葉麻十佳
       
     
『Melting Stone』千葉麻十佳
       
     
『Melting Stone』千葉麻十佳

No.8 2018/3/10 @3331 Art Chiyoda:3331 ART FAIR 2018

暗い画面の中には、白、青、黄、橙とゆらめくような光が写し取られ、莫大なエネルギーを秘めた恒星とそれを取り巻く星々の銀河のようにも見えるそれは、マグマが冷え固まってできた玄武岩を太陽の光で融かし、マグマに還してゆく様を撮影したもの。

光という太陽のエネルギーを集中させて、地球が秘めるエネルギーの象徴であるマグマを蘇らせるという、何百万年を遡るような時間操作を、巨大なレンズを手で持って集光するというシンプルな手業で成している点が痛快であり、融解する岩の表面というミクロと銀河を思わせるマクロが、相似性を持ってひとつの画面の中に捉えられているところにロマンを感じた。

今まで写真作品は手にしたことがなかったが、一瞬を切り取るメディアでありながらスケールの大きな時間の流れを感じさせる作品であり、かつ(肉眼では明るすぎるため)カメラのレンズを通してでしか捉えることのできない画であるという点から、初めて写真作品を手にしたいと思った。