STARTUP

リーンスタートアップにおけるMVP制作のポイント by Youki Takai

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「良い事業アイデアを思い付いたんだけど、実際に立ち上げるためには、まず何をすればいいんだろう…?」

ハッカソンやアイデアソンといった言葉も当たり前になり、一昔前から見れば新規事業アイデア創出の需要も機会も増えているけれど、それと同時に、事業アイデアを思い付いてもどう形にしていけばいいのかが分からずに頓挫してしまったり、逆に突っ走って失敗してしまう、という声もよく耳にする。

アイデア創出の「次」に何をすればいいのか、日経新聞社主催『AG/SUM HARVEST』のアクセラレーター・プログラムで講演した内容をもとに、MVP制作のポイントについてまとめてみた。

リーンスタートアップのプロセス

リーンスタートアップとは、まずはアイデアから最低限実用に足る製品(Minimum Viable Product)を作り、顧客の反応を検証しながら改良・軌道修正を行うという、構築(BUILD) - 計測(MEASURE) - 学習(LEARN)の学習サイクルを迅速に繰り返すことによって、無駄を最小限に抑えて成功に近づくというスタートアップ手法。つまり、いかに短期間でたくさん学びを得られるかが勝負になる。

とはいえ、厳密に言えば本当にアイデア出しの「次」にやることは、MVP制作ではない。
多くのスタートアップが、「その課題が本当に存在するのか」や「そのソリューションは本当に課題を解決できるのか」の検証をすっ飛ばしてMVPを作ってしまうが、実はこれがスタートアップが死ぬ原因のひとつ。MVPとはいえ、モノをつくるには当然リソースが必要なのだが、検証をせずに誰も欲しがらないものを作ってしまうのは「最大の無駄」。そして限られたリソースの中で成功のサイクルに乗ることが至上命題のスタートアップにとっては、この「無駄」が致命傷になる。

リーンスタートアップは「成功へのショートカット」ではなく「急がば回れメソッド」であることを肝に銘じ、MVPを作る前に最もリスクの高い要素から順に検証していくことが、本当に無駄のない「LEAN」を実現するポイント。

仮説「検証」のプロセス

では、その仮説検証はどのように進めていくのか。検証する順番は「リスクの大きい順」
間違っているソリューションの市場を検証しても無意味だし、問題が存在しなかったらそのソリューションも存在しない、という風に逆算していくと、最も大きなリスクとなるのは「顧客と課題」だと分かる。
つまり、「顧客と課題」>「解決策とサービス・プロダクト」>「サービス・プロダクトと市場」の順番にひとつずつ検証していく

 

仮説「立案」のプロセス

さらにもう一段掘り下げて、検証するべき「仮説」とは何か、その仮説はどうやって立てるのかについて、順を追って考えていく。

STEP 1:顧客と、その顧客の最も重要な課題を選ぶ

上記の通り、まずは最もリスクの大きい「顧客と課題」、本当にその顧客と課題が存在するのか(解決すべき課題なのか)から検証していくので、その事業アイデアの対象として想定している「顧客」と、その顧客が抱えていると想定している課題の中で最も重要だと思う「課題」をひとつ選んで書き出す。

STEP 2:課題の前提条件を洗い出す

次に、その課題の「前提条件」を書き出す。
ここでのポイントは、「課題」と「仮説」は違うものであることを認識すること。なぜなら、「こういうことを課題に感じたことがあるか」と課題をそのまま検証しようとしてしまうと、確かにそれ自体は課題でも、実はそんなことが問題になるシーンはほとんどなかった、ということが起こってしまい、本当の意味で解決すべき課題なのかの検証にならないから。課題をそのまま検証しようとするのではなく、「この前提条件が正しければ、課題は正しい」と言えることを仮説にする
ここではひとまず粒度は気にせず、思いつく限り、顧客の状況や行動など課題にひもづく前提条件を書き出す。

STEP 3:最も検証が必要な前提条件を洗い出す

前提条件を書き出したら、それらを「インパクトの大/小」「確度の自明/不明」の2軸でマッピングする。
その前提が合っていようが間違っていようが大した影響がないものならば検証する意味はないし、わざわざ検証しなくても分かりきったことならば検証に時間を割く必要はない。つまり、最もインパクトが大きく不明な前提条件=最もクリティカルな前提条件こそが最も検証すべきもの。

また、こうしてマッピングすると検証しなければならない前提条件は山ほどあることに気付くが、欲張って2つも3つも一気に検証しようとしてはいけない。複数の前提条件を同じ検証の俎上に上げてしまうと、どの前提条件がどう課題にひも付いているのかが分からなくなり、有効な検証ができなくなってしまう。ここでも「急がば回れ」を思い出して、最もクリティカルな前提条件からひとつずつ検証を進めていくことが大切。

STEP 4:検証方法と判断基準を決める

検証方法とはつまり、MVPとして何をつくるのか。MVPの選び方は後述するとして、ここでのポイントは判断基準=KPIを定めるということ。
ただ、検証で100%の白黒がつくことはないので、「◯◯人以上」「◯◯%以上」といった数値の設定に絶対の正解はない。KPIはあくまで判断材料のひとつなので、何をもってして「検証できた」とするかは「直感」でOK
これもよくあるスタートアップが陥りやすい罠で、慎重になるあまりユーザテストから抜け出せずに、いつまでたってもきちんとしたプロダクト・サービス開発に入れないままリソースが尽きてしまうことがある。そうなっては元も子もないので、ある程度「アリ」か「ナシ」かの判断ができたなら、だらだら検証を続けるよりさっさと次のステップに移り、サイクルを早く回していくことが大事になる。

こうして検証を繰り返し、その度にアイデアと仮説を修正しながら、「顧客と課題」>「解決策とサービス・プロダクト」>「サービス・プロダクトと市場」と検証のフェーズを進めていく。

MVPの例

改めて「MVP」とは何か。MVPとは Minimum Viable Product の略で、「最低限実用に足る製品」などと訳される。
ここでいう「実用に足る」というのは、「仮説検証から学びを得るために過不足がない」という意味。MVPは単なる初期のプロトタイプではなく、最も効率的に学びを得られるプロダクトであること、つまり「検証できること」と「それをつくるのにかかるリソース」のバランスが取れていることが大切。

参考までに、以下にいくつかMPVの例を紹介する。

CASE 1:プロトタイプ(β版)

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いわゆる試験やデモ用に作られる実験機。完成版ではないものの、実際に動作する製品を作り、クローズドβ版などテストユーザに使用してもらいフィードバックを得る。
洗練はされていなくとも実際に動作する製品なので、その分つくるにも比較的大きなリソースが必要になる。開発の段階としてはローンチに近く、市場投入前の段階で使用するMVP。

CASE 2:オズの魔法使い

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システム化されているように見えるが、実際は生身の人間が手動で実行することで、大掛かりなシステム開発の前にユーザニーズを確かめる手法。
靴通販の「Zappos」も、当初は注文が来たときには創業者が自ら商品を買いに行って発送を行い、サービスの需要を確かめた後に本格的なシステムを構築した。
裏側のシステムはできていなくとも、表向きは完成版のように見えるものなので、これも比較的制作にリソースが求められる。

CASE 3:プレオーダー

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ローンチ前に事前に登録や購入を募る手法で、そのサービス・プロダクトのベネフィットが顧客に響くかや、十分な数の顧客が得られそうかを探ることができる。例えばクラウドファンディングもプレオーダーの有効な手段のひとつ。
これは実際にプロダクトができる前に実行できるため、上の2つに比べるとつくりやすいMVPだと言える。

CASE 4:デモムービー

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ローンチ前に出すサービス紹介ビデオのこと。Dropboxは3分間のデモムービーを作り、Dropboxを実際に利用する流れを見せることで、顧客にどのような価値が得られるのかを想像させて事前登録を募り、ユーザー数を5,000人から75,000人へと大幅に増加させた。
これもサービスアイデアが固まった比較的初期の段階で実行できるMVPのひとつ。

CASE 5:コンシェルジュ

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「オズの魔法使い」が裏側のシステム部分だけ人力で行う手法だとしたら、こちらは製品を開発する前に、全てを人力のマニュアルで実行し、需要があるかを検証する方法。
近所のセール情報と食の好みから献立を考えてくれるサービス「Foodonthetable.com」は、Webサイトを立ち上げる前に、自分で直接スーパーで主婦に声をかけ、サービス内容を訪問して提供して直接フィードバックをもらって成功につなげた。

CASE 6:ペーパープロトタイプ

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紙で実際にアプリやサイトを制作する手法。リソースを費やして実際に実装する前に、紙とペンでモックアップを作成することで、事前にフローや仕様の齟齬を確認することができる。
手軽につくれるMVPだが、デザインなどUIの仮説検証に向くため、開発のフェーズとしては比較的後期のプロダクトの作り込みのフェーズで使用することが多い。

適切なMVPを設計するには

きちんと学びを得られるMVPをつくるには、今一度リーンスタートアップのプロセスを理解する必要がある。
当然、実証していく際にはBuild → Measure → Learnという流れになるが、検証方法を考える際は、逆算してLearn → Measure → Build の順に考えていく。

つまり、仮説から何を学びたいのか(Learn)を起点として、そのためにはどんな方法で何を測ればいいのか(Measure)、そしてそのためには何を作ればいいのか(Build)、というプロセスで考える。

表層的にリーンスタートアップの実証サイクルだけを見てしまうと、Ideasの次、つまりMVPとして何を作るべきか(Build)からいきなりスタートしてしまいがちだが、「MVPは単なる初期のプロトタイプ」ではなく「最も効率的に学びを得られるプロダクト」なので、後ろから逆算して「何を学びたいのか」から始める必要がある。そうすることで「MVPをつくってみたが良かったのか悪かったのかよく分からない」といった失敗を防ぐことができる。
いきなりMVPをつくろうとせず、適切なMVPの形は「学び」からの逆算で決まることを意識するのが大切。

MVPキャンバス

「MVPキャンバス」とは、AppSociallyの高橋氏とRecruit MTLが共同で開発したもので、最適なMVPを設計するために、リーンスタートアップの思考プロセスを一枚のキャンバスにまとめたもの。
思考の順に項目を埋めていくことで、どこにフォーカスすべきなのかそれぞれのポイントが整理され、効率的にMVPの制作と学びのサイクルを回すことができる。
ここではより最低限の項目に絞って簡易化したものを紹介する。

1:検証したい仮説は何か

そのサービス・プロダクトの中で最もクリティカルな仮説(前提条件)を記入する。

2:何を学ぶのか

この仮説検証をする理由、知りたい結果を記入する。
あらかじめ明文化しておくことで、仮説のピボットなど次のアクションが考えやすくなる。

3:仮説をどうやって検証するのか

どのように検証すれば、知りたいことが学べるのかを具体的に記入する。
複数検証方法がある場合は、それぞれでキャンバスを作成する。

4:実証に必要なデータ・条件は何か

仮説実証のためにどのような条件や定量データが必要なのか(KPI)を記入する。
実証結果がOKなのかNGなのかの判断基準。

5:MVPとして何をつくるのか

3・4を踏まえ、MVPとして何をつくる必要があるのかを記入する。
その際、MVPをつくるのにかかるリソースも考え、MVPを選ぶ材料にする。

6:検証結果

KPIに照らし合わせてどうだったのか、実証できたのかできなかったのか、得られた検証結果を記入する。

7:得た学び

結果から何を学べて、次のステップにどう活かすことができるのか、次のアクションを記入する。

 

まとめ

ここまでを振り返って、大事なポイントをまとめてみる。

リーンスタートアップは「急がば回れ」メソッド。検証すべき仮説を順番につぶしていくのが大切。
仮説を検証する順番は「リスクの大きい順」、「顧客と課題」から始める。
「課題」と「仮説」は違う。「この前提条件が正しければ、課題は正しい」と言えることを仮説にする。
課題検証はひとつずつ。最もインパクトが大きく不明な前提条件=最もクリティカルな前提条件を選ぶ。
KPIはあくまで判断材料。直感で「OK / NG」の確信が得られれば十分。
MVPは単なる初期のプロトタイプではない。仮説検証のためのプロダクト。
MVPは「検証できること」と「それをつくるのにかかるリソース」のバランスが取れていることが大切。
いきなりMVPはつくらない。適切なMVPの形は「学び」からの逆算で決まる。

 

ここまで、フレームワークや事例を交えてMVP制作のポイントを紹介してきたが、実はその実行を妨げる一番の要因は自分の「無意識」や「気持ち」だったりする。
MVPをつくってスタートアップを立ち上げようとしているということは、それだけ良い事業アイデアだと心から思っているからこそ。ただ、その思い入れが強ければ強いほど、無意識のうちに否定される恐れのある検証を避け、「幻のニーズ」を誘導して自分のアイデアに「幻の裏打ち」を与えてしまうリスクをはらむことになる。

リーンスタートアップは、「早く成功するために、早く失敗して、早く学びを得る」考え方。逆に言えば、最初のアイデアは「失敗する前提」。あまり最初のアイデアに固執しすぎずに、アウトプットの質は「何回修正できたか」が規定すると考え、早くたくさん失敗して、たくさん学びを得たほうが良い。
アイデアに「これはいける!」という手応えがあればあるほど、自分に都合のいい検証結果を導いてしまわないように、自分自身がドライに「このアイデアは自分だけの思い込みじゃないか?」と疑って顧客の心の声に真摯に耳を傾けることが大切になる。

もちろん、顧客からのフィードバックを学びとして反映していくにつれて、最初の事業アイデアとは違うソリューションやビジネスモデルに変わっていくことになるが、それはその分だけ正しい方向に進めているということ。もし、ピボットしたアイデアの形に「これは自分が作りたいものじゃない」と感じてしまったら、それは厳しいけれど「ただ自分が作りたいものを作りたいだけ」だったのかもしれない。
アイデアの形は最初に思い描いたものと違ったとしても、それが解決したい課題や実現したい世界、自分のビジョンに合っているものであったら、きっと最初のアイデアと同じように情熱を傾けられるはず。
自分が心から情熱を燃やせるビジョンを大切に、一歩ずつでも確かに「正しい」方向へ進んでいくこと。それが何よりの成功の近道なんだと思う。


あなたのリーンスタートアップがうまくいかない4つの理由と覚えておくべき3つの心得 by Youki Takai

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「リーン」って具体的にどうやるの?

耳にすることも多くなり、すっかり定着した感もある「リーンスタートアップ」という言葉。関連記事を読んだり話を聞いたりすれば「おっしゃるとおり!」と納得するけれど、いざ自分でやってみようと思うと、何から始めてどうすれば「リーン」になるのかよく分からない。そこで、リーンスタートアップの手法のひとつ、『Validation Board(バリデーションボード)』を使って実際にやってみました。

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まさに、百聞百見は一験にしかず。実際にやってみて分かったつまずきやすいポイントや、得られた教訓を、気をつけたいポイント4つと、覚えておくべき3つの心得にまとめてみました。

ポイントその1: 実験仮説の立て方

バリデーションボード」とは、仮説→実験→検証のフィードバックサイクルを繰り返しながら製品の精度を高めていく手法です。最初のステップである実験仮説(Assumption)を適切に立てるところで早速難しいと感じるかもしれません。というのも、「こういうことを課題に感じたことありませんか?」と課題仮説をそのまま投げかけてしまったら、「言われてみればそういうこともまああるかな…」と、幻のニーズに誘導してしまうことになるからです。

それでは「本当に解決すべきニーズなのか」を検証できません。課題仮説そのままを実験仮説にするのではなく、「こういう体験があるなら、課題仮説が正しいと言える」ということを実験仮説にすることが大切です。

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ポイントその2: ユーザインタビューの実践

ターゲットとその課題が本当に存在するのか、それを検証する方法のひとつがユーザインタビューです。無意識に答えを誘導してしまわないよう、そしてしっかりユーザの声を引き出すために、ちょっとしたインタビュースキルが必要になります。
まずは、軸となる質問を聞きもらさないためにも、インタビューシートを持参すること。次に、インタビューが終わったらすぐに振り返ってチームで共有できるように、気になったキーワードやコメントなどは随時メモしながら進めることです。
また、あらかじめ用意していた質問項目以外から、いかにユーザの本音や新しい気付きが得られるかも、とても重要なポイントです。思いもよらない言葉から真の課題が見つかることも多いので、なるべく一問一答のぶつ切りのやりとりにならないように、対話形式でキャッチボールしながら、興味深い話をどんどん掘り下げていきます。
そして、1人のインタビューが終わるごとに、都度インタビューのメモをチームで共有して、「ここが気になる」とか「ここはこういう聞き方をした方が引き出せそう」とか、小さなことでもフィードバックして改善していくと、わずかな人数にインタビューする間でもどんどんいいインタビューができるようになっていきます。バッチサイズを小さくして、フィードバックサイクルを早く回すことがリーンスタートアップの肝です。

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インタビュー結果の何をもってして「検証」するかは、「直感」でOKです。もちろん、判断基準としてのKPIを定めておくのも大切ですが、それはあくまで判断材料のひとつ。

ユーザインタビューでは定量的な調査は難しいので、「アリ」か「ナシ」かの判断さえつけば良いのです。ある程度判断ができたなら、だらだらインタビューを続けるより、さっさと次のステップに移りましょう。「そんなこと言ってもそんな簡単に判断できるもの?」と思うかもしれないけど、意外に大丈夫です。実際にユーザに対峙して直接声を聞くことは、想像している以上に雄弁に物事を語ります。

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ポイントその3: MVPの作り方

MVPとは、「Minimum Viable Product」の略で、「検証に必要な最低限の機能を持った製品」という意味です。つまり、「完璧な企画書を作りこむより、とりあえずでもモノという形にしてみよう」ということ。モノを作り始めるとどうしても「いいモノ」にしたくなってしまう気持ちは分かりますが、大切なのは、「1機能・1プロトタイプ・1検証」に絞り込むこと。欲張らずに、重要な仮説から一つずつ着実に検証していくのがポイントです。
MVPの例としては、Webサービスとして作る前に、単機能のサービスを手動(アナログ)で提供してみてユーザのニーズを確かめるやり方(コンシェルジュ型)もあれば、端的にサービスの特長とビジュアルをまとめてティザーサイトを作り、そこへの反応で検証するやり方もあります。他にも、世界観を表したムービーや、プレスリリース、今ならクラウドファンディングのプロジェクトを立ち上げるのもMVPになり得るかもしれません。
リーンスタートアップの基本は、「ユーザから学びを得て修正する」というサイクルです。ブラッシュアップするためには、一度対象から離れて客観視することが必要なので、そのためにも、プロトタイプという形でアウトプットを一度出して客観視することがとても大切なプロセスなのです。

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ポイントその4: 検証実験の設計

MVP(Minimum Viable Product)という形ができると、「さあ、あとはこれを世の中に投げて問うだけだ!」と急ぎたくなる気持ちもやまやまですが、ここでいったんその問い方を考えましょう。

大切なのは、ちゃんと「学びを得られる構造が設計されている」かどうかです。十分な数のデータが集められるのか、集まるデータは検証したいことに合致しているか、次のアクションに移るトリガーは何なのか…。MVPがランディングページやティザーサイトであれば、サイトのアクセス解析から色々なデータを取得することができますが、「データは取ったものの、結局この結果って良いの?悪いの?」とならないように、あらかじめ検証方法を考えておかなくてはいけません。

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適切な比較材料や基準となるKPIがなく、判断のつかないような定量データを取るくらいなら、ユーザの声などの定性データから学びや良し悪しの直感を得られるようにした方がいいこともあります。

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そして、検証できたら早く次のサイクルに移れるように、その後のアクションへのフローまでセットで考えておくことも忘れずに。

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「リーンスタートアップ」は「急がば回れメソッド」

やってみて思ったのは、リーンスタートアップとは「成功」にジャンプできる魔法のショートカットではないということです。最初に僕が漠然と思い描いていたのは、「とにかくさっさと作って、駄目ならさっさとピボットすればいいんでしょ?」というイメージでした。一見近いようにも思えますが、でも正しくは「外せないポイントをちゃんと仮説を立てて考えて、それを検証できるMVPをさっさと作り、駄目なポイントがはっきりしたなら、その学びをもとにさっさとピボットする」ということ。このサイクルを早く回すために、バッチサイズは最小限まで小さくするのです。まどろっこしいからと欲張って一度に複数のことを検証しようとしたり、とりあえず製品を作ってしまおうとすると失敗しがちです。「魔法のショートカット」というより、むしろ、愚直に確かめながら進めるという当たり前のことを一歩ずつ、それをものすごいスピードでやるから早く成功できる、ということなのです。自分の思いつきを過信せずに、確実な一歩を早く積み重ねるというド正攻法を貫くこと、それがリーンスタートアップの本質なのではないでしょうか。
今回の取り組みは実質15回、週一回のペースで3ヶ月間やってみました。ぎゅっと集中して取り組めば、2週間もかけずにここまでのことは充分できます。実際には技術的・権利的なハードルをいくつも超える必要がありますが、少なくともスタートアップを進めるときにはどうすればいいのかが具体的にイメージできたことはとても大な成果でした。

リーンスタートアップ「3つの心得」

これらの体験をもとに、リーンスタートアップを実践するにあたって大切なエッセンスを凝縮して「3つの心得」にまとめてみました。

1.自分の感覚を疑い、ユーザの心の声に従え
2.否定を恐れず、修正回数を誇れ
3.サービスにこだわらず、ビジョンにこだわれ

リーンスタートアップは、「早く成功するために、早く失敗して、早く学びを得る」考え方。早くたくさん失敗して、たくさん学びを得たほうが良い、ということです。つまり、アウトプットの質は「何回修正できたか」が規定するとも考えられます。逆に言えば、最初のアイデアは「失敗する前提」。けれども、実現させようと思ったということは、最初のアイデアにそれなりに「いける!」という手応えを感じているはずです。その思い入れが強ければ強いほど、無意識のうちに否定される恐れのある検証を避け、「幻のニーズ」を誘導して自分のアイデアに「幻の裏打ち」を与えてしまっているかもしれません。誰だって自分の素晴らしいアイデアを否定されるのは怖いと思います。でも、だからこそ、まずは自分自身がドライに「このアイデアは自分だけの思い込みじゃないか?」と疑い、思い込みに隠された本当のニーズを暴こうとする作業が大切なのです。
その結果導き出されたソリューションやビジネスモデルに「これは自分が作りたいものじゃない」と感じてしまったら、それはきっと残念ながら「作りたいものを作りたいだけ」だったのかもしれません。ソリューションの形は最初に思い描いたものと違っても、それが解決したい課題、つまり自分のビジョンに合っているものであったら、きっと最初のアイデアと同じように情熱を傾けられるはずです。
「リーンスタートアップ」とは、それに則れば成功が約束されたマニュアルではなくて、文化やマインドに近いものなんだと思います。逆に言えば、この「心得」さえ忘れずにいれば、きっと、たとえ多少進め方が違ってたとしても、ちゃんと「リーンスタートアップ」ができるはずです。

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※今回の実践の全スライドはこちらからご覧いただけます。

Think Big, Act Quick. by Youki Takai

第3回Samurai Venture Summitに参加してきました。
自分自身は今はスタートアップをしているわけではないけど、行ってよかった。
示唆に富む言葉やいい刺激がたくさんあったので、印象に残った部分をピックアップして紹介します。

 

「世界を狙う起業家に必要な心構えとは?〜season2〜」孫泰蔵氏

まずは孫泰蔵氏(@TaizoSon)のセッションで幕開け。
トーク自体も面白かったが、結果的にSVS全体を象徴する内容だったと思う。

起業家は楽観的でないとできないが、理性がある以上本当に楽観的になるのはとても難しい。
本当に楽観的になるためには、あらゆることを考え抜いてとことん突き詰めるしかない。
考え尽くして努力し尽くして、初めて「ここまでやったのだからどうなっても後悔はない」
という楽観的な境地に辿りつける。
ある意味、人を説得する方が簡単。自分の方がごまかせない。

考え抜いて突き詰める過程で、無駄とか迷いが削ぎ落とされていく。
そうしてアイデアや思いを「志」まで純化した強さがアントレプレナーには求められると理解した。

「世界」を狙うためには何が必要か。
まずは日本で成功すること? まずは身近な人に喜んでもらうこと?
それも正しいけど、まずは何よりも「英語」。最初から英語でサービスを作ることが大事。
そうすると全世界の人が使う前提になって思考回路が変わってくる。
「まずは日本で」というのが一種の言い訳・逃げになってはいけない。
そういう思考回路だと、結局小さくまとまって終わってしまうケースが多い。

ぐさっとくる。「身近な大切な人を喜ばせられずに世界でなんて受け入れられるはずがない」なんてカッコイイこと言ってしまいそうになるけど、エクスキューズだと言われると言葉に詰まる。
そんな居心地の悪さに明快なアンサー。

“Lean Startups”の時代
クラウドサービスが広がってサーバなどのインフラ保有コストが劇的に下がったことと、
twitter、facebookなどのソーシャルメディアのインフラ化によって、
バイラルに広がる素地が整ってきたことで、少数・少額でスタートアップできるようになった。
アメリカの有力エンジェル達はビジネスモデルは見ない。
経営者の人柄とサービスのプロトタイプだけを見て投資するかどうかを判断する。

スタートアップの急増はただのバブルではなく理由がある。
体力もブランドもないベンチャーの最大関門であるランニングコストとプロモーションが今までと比べれば限りなく無料に近くなっているのはかなりハードルを下げていると思う。

ちょっとずれるけど、多くのサービスがAPI公開されてクラウド上に漂っている今、その「フラグメント×フラグメント×エッセンス」で無限のクリエイションの可能性があると思う。
そんなフラグメント化する世界では、誰でもオープンソースでサービスの断片を利用できる以上、エッセンスの価値が最重要になるはず。
エンジェル達が見ているのはプレゼン資料ではなくその部分なんだと思った。

世界で成功する起業家になるために大切な5つのポイント
1. Think Big
2. Different
3. Convincing
4. Simple
5. Logical
無理かなと思っても志のあるものを考えろ。
シリコンバレーと比べて日本が能力的に劣っているとは全く思わない。
差があるとすればそこだけの差。

世界を狙わなければ世界で戦えない。
説得力がなければビッグインパクトは起こせない。
コピー不可で、シンプルで、論理的なもの。
大切なエッセンスはこの5項目に凝縮されているが、
これこそまさに言うは易く行なうは難し。

“5-Year-Lasting Service”
5年後の常識になるサービスを「今」作るとビッグインパクトになる。
Gmailはメールサービスでは最後発だったが、当時では圧倒的な2GBという容量をもって一気にシェアを獲得していった。
ただ今となっては2GBという容量に驚きはない。

逆に言えばそれだけのスピードが求められるし、それだけ先を走っていないとビッグインパクトは起こせない。

サグラダ・ファミリアは世界で唯一、工事現場を見せて入場料を取っている観光地。
それなのに観光客はみんな感動して喜んでお金を払っている。なぜか?
ガウディはそれぞれの塔に設置する鐘の音階を決め、各鐘の共鳴具合を考えて鳴らす曲まで作曲し、
完成した暁にはサグラダ・ファミリア全体が使徒と神の降臨を表す楽器となるよう設計した。
観光客はそのガウディの構想の壮大さに感動してお金を払っている。

ガウディの夢をつむぐ手助けをしたい、ガウディの夢に「参加」し当事者になりたい、という思いがお金を払うモチベーションになっているサグラダ・ファミリアは、いわばソーシャルやベンチャーの理想形。
応援することも体験、参加することも体験。
なんでもデジタルでコピー可能な世界で、コピー不能な「体験」の価値は相対的に高まっているから、「応援したい気持ちにお金を払う」ってモチベーションが生まれる。
これがソーシャルコマースの原点なのかもしれない。

 

「ポジティブウェブ2011」Grow! カズワタベ氏、ハイパーインターネッツ 家入氏・石田氏、Labit.Inc 鶴田氏

次に参加したのはこのセッション。「ポジティブウェブ」とは、
“全世界の人がそのサービスのユーザだと仮定したとき、世界が良くなると思うもの”。

それを踏まえて、今後の目指すべきWeb像を語るという、なかなか答えのないこの難しいお題に対してどういう言葉が出てくるのか。個人的にすごく共感・注目している4人だったので楽しみだった。
まずは各サービスとパネラーの紹介。

Grow!
ソーシャル・パトロン・プラットフォーム。
クリエイターが自分のサイトやコンテンツに「Grow!」ボタンを設置し、それがクリックされると1クリック=1$がユーザからクリエイターに支払われる仕組み。また、ユーザ間のGrow!はtwitterやfacebookで共有・拡散されるので、それがまたクリエイターを応援する設計になっている。

Grow!のやりたいこと
1. 創造的なモノへの、「社会全体からの持続的投資」
2. クリエイティブの、「サステナビリティの向上」
3. 消費者による、「能動的な価格設定」機会の創出
4. 「人と結びついた感動」の共有
5. インターネットを活用した「パトロンのソーシャル化」

CCOをつとめるカズワタベさん(@kazzwatabe)が今回のモデレーター。

CAMPFIRE
マイクロ・パトロン・プラットフォーム。
クリエイターが新しくプロジェクトを立ち上げる際に、ユーザ=パトロンから少額ずつ支援を募って資金を得られるサービス。目標金額に達したら、クリエイターはパトロンにそのリターンとしてモノや体験を返すことで、金銭的な授受だけでなく、ユーザはそのプロジェクトへの参加感を、クリエイターはあらかじめファンを得ることができる仕組み。
indieGoGoとかkickstarterのローカライズ版だと思えば分かりやすい。 ※参照

パネラーとして家入さん(@hbkr)と石田さん(@kohex)が登壇。

Pray for Japan
慶応義塾大学SFC生の鶴田浩之さん(@mocchicc)が作ったサイト。
#prayforjapanのハッシュタグでtwitterに流れてくるメッセージをまとめている。
4/25に講談社から書籍としても発売された。

今回の話には特別登場していないけど、鶴田さんのブログの「16歳で起業して4年間やってきて思うこと」という有名なエントリも非常に示唆に富む内容なのでぜひ。
※4/1にLabit.Incを設立したそうなので、こちらから新たに生まれるサービスにも注目。

セッションの内容は、「No tweetでお願いします」(by 家入さん)というものがあったり非常に自由な進行だったので、ここでは印象に残った部分を抜粋。

「例えばTogetterも、便利だけど使い方・まとめ方によっては炎上を引き起こしたりネガティブなものになり得る。」
「実は、この題目に対する答えはもうすでに自分の中で出てしまっていて、結局ネットは人に帰属するからその使い方次第だなと。」
「瓦礫の写真とかもたくさんハッシュタグで流れてくるけれど、Pray for Japanのサイトの運営上のポリシーとしてそういうものは流さないようにしている。」
「そのデザイン、行間、余白もふくめた全体的なコーディネート=キュレーションがPray for Japanをポジティブなものにしている。」
「CAMPFIREも家入さんと石田さんのチェックを経てからプロジェクトとしてアップされるので、悪意のあるプロジェクトが勝手に資金を集めることにはならないし、Grow!も基本的にはユーザの『いいね!』という気持ちに基づいてGrow!されるので、悪意が働きづらい仕組みになっている。そういう意味ではCAMPFIREもGrow!も一種のキュレーションメディア。」

結局、Webがポジティブなものになるかどうかは、誰がどうキュレーションするかに担保されるということ。
そう聞くと、そんなの当たり前じゃん、という気もするけれど、ソーシャルの時代に今改めてそれを認識するのは結構大事なことだと思う。
使い方・使われ方によっては誰かを傷つけたりする可能性があるというWebの大前提を意識した上で、善意がスパイラルするような仕組みを設計できたサービスだけが、最後までユーザに使われて残っていく気がする。

題目とは少しずれるのであとがき的に書くけど、Pray for Japanの何がすごいかというと、震災発生からわずか2時間で作ったというところ。
もちろん、その後アップデートを続けて今の形になっているのだけれど、きっとそのタイミング・そのスピード感でリリースされていなければこれだけ多くの人の目に触れて話題にはなっていないと思う。

また、「CAMPFIREは新たに生まれるコンテンツを支援するサービス、Grow!はすでにあるコンテンツを支援するサービス」というくだりも頭に残った。
もはやある意味「すでに何でもある時代」、新たなクリエイションの多くはMADに代表されるようにコンテンツとコンテンツのかけ合わせというか、見せ方・編集の仕方次第で付加価値を付けるものになってくると思う。そこでユーザがコンテンツを量産できるような、クリエイションの敷居を下げるようなサービスができれば、これらと絡んでもっとシナジー生めるのではと思った。やりたい。

 

「ソーシャルコマースの現状と今後の展望」Nagisa 横山氏、Flutter Scape 柿山氏、Whyteboard 碇氏、Livlis 川崎氏

これも超楽しみだったセッション。
モデレーターはNagisaの横山さん(@Y_Yokoyama)。ソーシャルコマースサービスの立ち上げ準備中とのこと。

FLUTTER SCAPE
柿山さん(@hirrro)が上智大学卒業後に立ち上げたFLUTTER SCAPEは、世界中の人たちがそれぞれ「好きなもの」の写真を共有してつながるサービス。
それがそのままwish listになっていて、欲しい人に欲しいものを売ることができる。
いわば外国の人たちがそのままキュレーターとなって「Cool!」だと思うものを紹介してくれる仕組み。「日本の日常は海外に売れる」。
参照

面白いのは、wish listというカタログ=コンテンツはユーザのソーシャルグラフによって勝手に生成されていくところ。あとはそれで顕在化したニーズに対してモノを仕入れて売ればいい。
売る側からも買う側からもハッピーに手数料を取れるので、在庫も持たずに粗利率20%とのこと。

WhiteboardF-auction
碇さん(@ikalii)は大学在学中に無料の傘シェアリングサービスSHIBUKASAを立ち上げた後、今は新たにfacebook上でのオークションサービスF-auctionを立ち上げ中。

facebook上のコマースは「F-commerce」と呼ばれる。
F-auctionは、facebookアプリ上でPayPalを使ってユーザの「売りたい」「買いたい」をマッチングするシンプルなサービスだけど、facebookの実名性・信頼性から生まれるコミュニケーションやストーリーがオークションの新たな価値になる。

Auction 2.0
1. Real name
2. World wide
3. Taste graph, Interest gragh

livlis
ご存知Livlisは、元はてなの川崎さん(@yukawasa)が立ち上げた、twitterを通じてモノをあげたりもらったりできるサービス。

「個人がモノを通じて人と出会うサービスにしたい。」
「人+位置情報=ヒトトナリ」
「3年後には、ソーシャル×ローカル×アジア×スマートフォンがカギになる。」

これから目指す姿としては、スマートフォンの位置情報を使って、例えば「半径何m以内で買える物、買いたい人と売りたい人をマッチングする」ようなサービスとのこと。

あと、非常に興味深かったのが品物の受け渡しのエピソード。

Livlisでは「郵送」と「手渡し」とが選択できるが、「手渡し」は最初冗談半分で作った。
だけど実際に蓋を開けてみればほとんどの人が手渡しで品物の受け渡しをしている。
ある女性ユーザいわく、「郵便番号と住所を公開してストーカーされるリスクより、駅とか衆人環視の中で刺されるリスクの方がずっと低い」。

実際にそういうリスク面の問題もあるだろうし、ソーシャル経由だとお互いの信頼に基づいた取引だからということも要因としてあると思う。ソーシャルグラフでつながる人とリアルで会うことへの興味もあるかもしれない。個人的にも引越しの際にtwitter経由で直接不用品をゆずり渡した経験があるけど、いずれにしても、「郵送よりも手渡し」というのがソーシャル時代の気分なんだと思う。

また、全体のセッションから出てきた印象に残った言葉をピックアップ。

「トランザクションを増やす設計より、リアクションを増やす設計ができればサービスとして勝てる。コミュニケーションが生まれなければ、結局売れない。」
「だんだん値段でモノを買わなくなってくる。友人がいいと言っているもの、共感できるものなら買うようになる。」
「スーパーの試食ってすごいと思うんですよね。買わざるを得ない空気出てるじゃないですか。あればおそらく高いCVRを誇っているはず。あのおばちゃんの感じがWebで実現できればそれこそソーシャルコマースですよ。」

笑いも起きてたけど、割と本質かもしれない。ソーシャルコマースの理想は試食のおばちゃんですよ。

 

「facebookを活用して取り組むべきビジネス・取り組みにくいビジネスとは?」ブレークスルーパートナーズ 赤羽氏

見た中でもうひとつまとめとして触れておきたいのがブレークスルーパートナーズ赤羽さん(@YujiAkaba)のお話。

ソーシャルメディアの最新事例などのプレゼン資料は全部下記SlideShareで公開されてるので詳細は割愛。

『Facebook、twitter等ソーシャルプラットフォームを活用したサービス立ち上げ』

・facebook、twitterはつなげるだけじゃダメ。もはやフル活用が大前提
・すべての既存サービスがソーシャル化でWebに置き換えられていく中にビジネスチャンスがある
・自分がやらなければすぐに他の誰かがやってしまう
・最初から世界が対象。英語は超重要。チームにひとりはネイティブ並みのメンバーを
・経験より、熱意・アグレッシブさ・感度・人への好奇心・細部へのこだわりがカギ
・2〜3ヶ月でサービスリリースするスピード感とフットワークが必要
マネタイズを考えて事業計画を考えるのは重要ではなくなってくる。
それよりスピード。計画を立てる間に、本当にいいサービスをさっさと作れ。
いいサービスといっても、放っておいてもリアルで口コミが起こるくらいすごいサービスでなければ成功しない。
ただ、スピード感をもって本当にすごいサービスが作れればお金は後からいくらでもついてくる。

夢もチャンスもいくらでもある。でも、「本当にすごいサービスを誰よりも早く」作れなければ成功できない。
ソーシャルの時代ではユーザの反応もダイレクトだし、合わなければすぐに使われなくなる。しかも競合もあっという間に乱立してくる。今はもしかしたら本当にドライで残酷な時代なのかもしれない。
でももう一度言うけど、夢もチャンスもいくらでもある。大事。

 

※全体については、他にもいくつかまとめてくれている方がいるのであわせてどうぞ。
「孫泰蔵さんの「世界を狙う起業家に必要な心構えとは?」10のまとめ」by イセオサムさん(@ossam
「第3回 Samurai Venture Summit 活気とシャウトで充満」 by 本荘修二さん(@shonjo
【写真レポート】第3回Samurai Venture Summit【本田】
Togetter「SVS3」

最後に、上記以外にも気になったサービスを紹介。

 

■WishScope
Zawattからローンチ予定のサービス。
CAMPFIREのプロジェクトが個人のwish listに置き換わるイメージ。
欲しい物を公開して、例えば「買ってくれたら生写真3枚あげます」みたいに支援者を募る。
このスキームはいろいろ応用効きそうなので今後増えてくるかも。

getstage
ミュージシャンやダンサーなどのアーティストと仕事をつなげるプラットフォームサービス。
アーティストは月額費用525円でプロモーションページに登録して、募集されているステージに応募できる。募集する側はギャラ設定をして案件掲載する。
ありそうでなかったサービスだけど、こういうアーティストやクリエイションの裾野を広げて支援するサービスは個人的に共感するので応援したい。

LikeaLittle
アメリカの大学生の間で絶賛拡大中の「ソーシャル出会い系」サービス。
学校ごとに掲示板があって、そこに見かけた気になる異性の特徴を書きこんでいく。
面白いのはそれが「匿名」で行われるということ。
「この書き込みってもしかして俺のことかな…?誰か気にしてくれてる女の子がいるのかも…!」
なんて、シャイな日本の大学生にもめっちゃ流行りそう。 ※参照

 

いろんな人と話せたし本当にいい刺激を受けた。
たくさんのスタートアップサービスがあって、正直、その中にはピンとこなかったりマネタイズどうするんだろうって思うものもあったりもしたけど、誰もが誇らしげに、楽しそうに自分のサービスを語る姿がすごく印象的だった。
セッションの中にも何度も「マネタイズよりもスピード、そしてコンセプトの壮大さ」という言葉が出てきたけど、誰よりもやっぱり自分が「このサービスが成功すればこんないい世界になる!」って夢を信じて語ることがファン・支援者を増やす欠かせない第一歩なんだなと改めて。

「語れる夢」があることは、逆に言えば新たな出会いを得るために必要な一種のパスポートなのかもしれない。

 

P.S.エイトレントさんがセグウェイの体験試乗ブースを出してたので初めてセグウェイ乗りました。バイク×スノボみたいで楽しい。